2021年10月18日月曜日

Araneus matsumotoi Suzuki & Tanikawa2021


カクレコケオニグモ


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カクレコケオニグモAraneus matsumotoi♂。
対馬産個体。

本州~九州(対馬)にかけて記録されている。
山地の林内に棲息。昼間は樹幹の苔に潜んでいることが多い。

本種は一見するとコケオニグモA. seminigerに似るが、以下の点で区別できる。
・背甲の色:生時において本種の背甲は灰色を呈するが、コケオニグモでは頭部後方~胸部にかけてピンク色を呈する傾向にある
・腹部の色:本種では苔をおもわせる深緑色だが、コケオニグモではウメノキゴケ類に似た白緑色を呈する
・腹部の模様:本種では肩突起の間に、黒く縁どられた逆V字紋が目立つが、コケオニグモでは欠く。代わりに、コケオニグモでは肩突起に黒い棒状斑が目立つ

種小名はクモヒメバチの研究者、松本吏樹郎氏への献名。

カクレコケオニグモ♂背面拡大図。

カクレコケオニグモ♂。
奈良県産。

カクレコケオニグモ♀。
奈良県産。


カクレコケオニグモ♀。
鳥取県産。

カクレコケオニグモ幼体。
鳥取県産。

苔に潜む幼体。
茨城にて。

夜間、網の中央に静止する幼体。
茨城にて。

カクレコケオニグモの網。
茨城にて。

(1)外雌器腹面図、(2)同基部拡大図、(3)同側面図。
Scales=1.0㎜(1,3), 0.5㎜(2)

外雌器垂体はコケオニグモに比べて細長い。
また、生殖口は外側に向かって開口する(コケオニグモでは内側)。
ヤマブシオニグモA. reizanによく似るが、本種では外雌器基部後縁が深く括れ込む。

(4-6) カクレコケオニグモA. matsumotoi:
(4)♂触肢腹面図、(5)同前面図、(6)亜端部突片拡大図、
(7)コケオニグモA. seminigerの亜端部突片拡大図。
Scales=1.0㎜(4, 5), 0.5㎜(6, 7)

亜端部突片先端に広い膜質部を備え、その後縁に効果した突起を有することでコケオニグモA. seminigerとは明確に区別可能である。

引用文献
Suzuki Y & Tanikawa A. 2021. A new species of the genus Araneus (Araneae: Araneidae) from Japan. Zootaxa 5052(4): 591-596.
 

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