2020年3月1日日曜日

土壌性微小サラグモ類への誘い②

実践例

2020年2月に,茨城県南部の落葉樹林帯(標高約400m)1地点にて2,3回のシフティングを行った.シフティングの際は表層の乾燥した落葉を除き,多少分解が進んでいる湿ったリターを用いた.

シフティングによって得られた土壌性クモ類を以下に示す.
大小さまざまなクモが含まれているが,スケールバーの大きさに注意してほしい.いずれも体長5㎜以下の微小種である.

この中に,サラグモ科は何種含まれているだろうか?






各種に通し番号をふってみた.確認できた種は合計で7種.
①:ヤギヌマグモ科,②-⑦がサラグモ科である.




①ヤマトヤギヌマグモ Telema nipponica (ヤギヌマグモ科)
サラグモ科ではない.よく見ると眼が6個しかない (サラグモ科の多くは8個).

②タテヤマテナガグモ Microbathyphantes tateyamaensis (サラグモ科)
関東地方では平地から山地にかけて普通.


③カントウケシグモ Nippononeta kantonis (サラグモ科)


④オオイワヤマトコナグモ Paratapinocyba oiwa (サラグモ科)
とても小さい。

⑤ヒロテゴマグモ Pseudomicrargus latitegulatus (サラグモ科)
茨城では山地に普通.

⑥ヤマトマルサラグモ Saaristoa nipponica (サラグモ科)
コデーニッツサラグモに似る.茨城では平地から山地にかけて普通.


⑦オオクマコブヌカグモ Walckenaeria chiyokoae (サラグモ科)
九州で記載された種であり,いまのところ茨城は分布東限.



上記のサラグモ科6種のうち「サラグモ屋敷」に掲載されていたのはヤマトマルサラグモを除いた5種であった.オオイワヤマトコナグモの種名は掲載されていないが,「サラグモ科112」として紹介される未同定種が本種にあたる.
関東地方でサラグモを採集された方は,「サラグモ屋敷」を訪問することを強くお勧めする.しかし,北海道や四国,九州などのサラグモ相に対応するには不十分だろう.それらの地域で第二,第三のサラグモ屋敷が出現することを期待したい.
















0 件のコメント:

コメントを投稿